株式会社塚島ファーム

 
 

塚島ファーム 塚島 信子さんのあゆみ

牛にストレスを与えない。

塚島ファームでは、搾乳牛50頭・育成牛40頭を、牛になるべくストレスを与えない方法で飼育。牛の餌にもこだわり、牧草や飼料(とうもろこしなど)も自家栽培。「循環型農業」に取り組んでいます。

結婚を機に就農。酪農家の道へ。

千葉県松戸市に生まれ、保育士の仕事や東京での生活を経て、短大時代に出会った夫と結婚。酪農家人生のスタートです。

talk1

自分がやりたいことは何だろう?

6次産業化申請を断念。

世間的に「6次化」の動きが始まり、専業申請を検討するも断念。

talk2

叶えたい夢。想いのつまったジェラート。

ジェラート製造販売を開始。

6次産業化事業計画の認定を受け、加工所を建設。

talk3

つくってからがはじまり。

事業として継続するための販売拡大と利益向上。

talk4

塚島ファームのこれから

いつも柔軟に、自分らしく輝く。

talk1

自分がやりたいことは何だろう?

「やりたい!」と思ったら、その興味関心に向き合って行動してきた信子さん。ジェラート開発については就農当初から頭の中にはあったそうです。 「結婚する前から、周りからは農業って大変だよと言われていたんですが、もし酪農をやったら牛乳あるし“アイス”たくさんできるかもね、なんて喋ってたりもして。だから、ぼんやりやりたいこととしてあったんだけど、実際に酪農の世界に入ったら数年間は日々の作業や子育てに精一杯でした。いつしか、やりたいって思っていたことも忘れかけてしまっていたんだと思います。」

また、そんな忙しい日々の中でも牛たちに愛情を持って接することにはやりがいを感じていた一方で、共同出荷のため、自分たちがつくったものが共同出荷され、どこの誰にどのように届いているのか見えず「これが自分がやりたかった仕事なのかな」という想いも抱えていました。

talk2

叶えたい夢。想いのつまったジェラート。

「6次産業化を断念した、その翌年に実の妹が亡くなったんです。妹は拒食症だったんですが、会うたびアイスだけは美味しいって食べていました。お姉ちゃんの牧場の牛乳でつくったら、絶対もっと美味しいよって言ってくれて… それが忘れられなくって。」
大好きな妹さんを亡くし、1年ほど誰にも会いたくないと思うほど落ち込んでいた信子さんですが、このままじゃいけないと自分を奮い立たせて、少しずつ自分のやりたいことに向き合うようになったそうです。

酪農家になったらやりたかったこと、忙しい日々の中で感じた牛たちへの愛、そして、妹さんが大好きだったもの。
自分の中にある大切なものに向き合った結果、「アイスをつくりたい」という夢が信子さんの中にできました。
その後、家族の支えも加わり、6次産業化への再チャレンジを進めていきます。補助事業の申請、商品の試作、製造設備の選定に資金繰りなど考えるべきことは山積み。以前に増して忙しい日々の中でも、人と会って話をすることは大切にしていたという信子さん。試作をするにもいろいろなアイスを食べに行ったり、パッケージを作るのも地元の印刷会社に足を運び、自身の想いを直接伝えて話し合いながら作り上げていきます。

「牛舎での仕事のあと、夜遅くまで書類を書いたりして本当にきついな…と思っていたときに夜空を見上げたら、星がキラキラって輝いていて。星は小さい子どもからお年寄りまで世界中誰にも同じように輝いている。不思議と、自分を応援してくれているのかなとか、その中のどれかが妹かなとか、そんなことを思ったんです。そうしたら、少し元気が出た気がして。」
心身ともに辛い時期に星空を見てはげまされた。自分がつくるものも、誰かを元気づけられる存在になってほしい。そんな想いからイタリア語で「星」を意味する「ステラ」という言葉を加え、『ステラジェラート』が完成しました。

talk3

つくってからがはじまり。

加工品をつくったことで、形にした想いを自らお客さまに届けられるようになりました。しかし、そこで満足してしまっていたと振り返る信子さん。
「自分のペースで少しずつ販売を進めていきましたが、事業として継続するための目標に実績が追い付かなかったんです。その時、本業の酪農に頼っていることに気づきました。それでさが農村ビジネスサポートセンターに販売拡大と利益向上について相談しました。」

ブランディング・販売戦略支援、加工現場視察と衛生管理指導、ギフト販売検討などさまざまな支援をうけました。
「酪農家だから飼育のことは分かっても、商品の売り方は何も分からない。自分だけでは考えつかないことを、さまざまな専門の分野から助言してもらうことで気づけて、そこからようやく考え始められるようになりました。6次産業化するのは楽なことじゃないけど、いろんな支えがあってなんとかやろうと思えるし、自分自身が成長できる機会になっていると思います。

「先日、農業大学の学生たちに加工品開発の話をする機会があったんですが、想像以上に質問が来たり、感想をくれたり、反応がとても良くて。その後すぐネットショップでジェラートを購入してくれた子もいたんです。大切なお小遣いだろうに。自分の経験を伝えることで農業界の未来を担う子どもたちに何か与えられたのかなって、とても嬉しい気持ちになりました。」
商品は想いを届けてくれるもの。それを広めていくため、続けていくためにさまざまなことに向き合う必要があります。それでも、原動力になるのはやりがいの部分なのかもしれません。

talk3

塚島ファームのこれからいつも柔軟に、自分らしく輝く。

これからはしっかりと経営にも向き合ってジェラートをいろんな人に届けることが目標。そして、こんな未来への想いも話してくれました。

「息子が帰ってきて就農することを選んで、働いてくれているんですね。だからこそ、これからのことは息子に好きなことをやってもらいたいという思いがあります。新しくチャレンジするときに、まわりにはいろいろ言う人がいるかもしれないけど、やりたいことをやって、楽しくやっていかないと。家族で話して、柔軟に、未来へ向かって歩んでいけたらいいなと思います。」
自分の想いに向き合い、周りの人の声を聞きながら、それをカタチにして柔軟に生きてきた信子さん。そして、それを近くで見ていた息子さん。塚島ファームの星はこれからもきっとキラキラと輝いていきます。

支援機関・体制

鹿島市役所・藤津農業振興センター / 補助事業紹介・生産技術支援等

佐賀県産業イノベーションセンター / 各専門支援(さが農村ビジネスサポートセンター)